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HOUSE 住宅購入

中古住宅の選びかた ~最重要項目編その2~

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私がおすすめする中古戸建について、住宅を選ぶときにはどのような観点が必要かを私の目線で解説し
ていきます。

前回の記事で”最重要項目その1”を紹介しましたが、今回はその続きです。

私の条件一覧 ~最重要項目編その2~

擁壁あり

坂の多い地域をはじめ、高低差がある土地に住宅を建てる場合は、土木工事で土を盛って平坦にする必要があります。その際に土が崩れるのを防ぐために作る壁を擁壁といいます。

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左が擁壁。坂にある住宅は平地にする必要があります。
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左が擁壁。見晴らしはとても良いのですが、、

坂であれば擁壁の上の物件は見晴らしが良かったりもしますが、問題なのはメンテナンス費です。擁壁はそもそも耐用年数が30~50年と言われており、新築で買ったとしてもいずれやり替えなければなりません。30~50年の間にもメンテナンスを行う必要があり、水抜き穴が詰まれば排水されず水圧がかかることになったり、ひびが入れば補修する必要があります。

これらは重機が必要なのでDIYで行えるものではなく、メンテナンスに数十万円、ひび割れや擁壁の膨らみ等劣化が進行し、解体撤去して新たに作るなら数百万円かかります。

もし擁壁の下に隣家があるなら万一の被害を防ぐためにも補修しないわけにいきません。新築建売では擁壁工事まで行いますが、その分が価格に上乗せされることはあまりありません。しかしいつか必ず耐用年数が来るので、その時に大きな費用がかかります。平坦な地域で擁壁のない物件を選ぶのがお勧めです。

プロパンガス

住宅で使うガスは都市ガスとプロパンガスの二種類に分けられます。

都市ガスは液化天然ガス(LNG)を気化させたもので、地下に張り巡らされたガス導管から供給されます。

プロパンガスは液化石油ガス(LPガス)のことで、ガスボンベという容器を事業者が運搬・設置し供給されます。

都市部は住宅が密集しているため、ガス事業者にとっては地下にガス導管を張り巡らせて供給するのが効率が良いのですが、地方で人口が少なかったり住宅の距離が離れた地域では、インフラ投資に対して採算性がとれないため、ガス導管が設置されません。そこでガスボンベで供給されることになるのです。

プロパンガスはガスボンベに入った容量分しか使えないので、定期的に交換する必要があります。プロパンガスは都市ガスより高い熱量を持っているものの、配送コストがかかるので、プロパンガスは都市ガスよりも値段が高くなります。ガスや電気の固定費は安いに越したことはないので、プロパンガスは避けたいところです。

一般的に地方で多いプロパンガスですが、都市部でもたまに見かけます。近くのガス管までの距離が遠い、私有地があり所有者の掘削承諾が得られないといった理由が考えられます。前者だと費用の問題ですが、後者では解決することはできないので注意が必要です。

なおアパートでプロパンガスが多いのは、アパートを立てるときにプロパンガスの事業者が配管工事や設備機器の費用を負担し、その代わりに10年~20年単位で供給する契約を結ぶことで、オーナーの初期投資が抑えられるためです。初期投資が減るので家賃も抑えられますが、代わりに賃借人の月々のガス代が高くなるということです。オーナーが都市ガスを採用した場合は初期投資が増えるため、それを回収するため家賃が高くなる結果となります。オーナーからすればプロパンガスを採用した方がメリットが多いということですね。

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ガスボンベがあればプロパンガスです。

騒音環境

マイホームはくつろげるように静かで落ち着いた環境が良いものです。そのため以下のような物件は避けたいところです。

  • 幼稚園、保育園が近い
    子供が元気に過ごしている姿は可愛らしいものですが、自宅の近くに幼稚園や保育園があるのは考えものです。毎日子供の外遊びの声、先生のピアノとお歌の声、イベントの練習など、本来は子供の豊かな成長には不可欠なものですが、自宅近くで毎日聞こえてくるとなると苦痛となってしまいます。子供を幼稚園に通わせていると園から「広がって歩かないように」とか「井戸端会議をしないですぐ帰宅するように」という指示がありますが、近隣からクレームがあるようです。自分が近くに住んでたらクレームする側になってしまうかもしれません。
    幼稚園なら平日しか開かないので、平日の日中は仕事で家を空けているのなら良いかもしれませんが、老後も一生続くことを考えると辛いところです。
  • 公園の隣
    こちらも幼稚園、保育園が近いのと同じ子供の声の問題です。まれに公園の真隣りの物件があります。幼稚園と異なり平日の夕方以降と土日の日中に外遊びの声が聞こえてきます。2022年には長野市で近隣住民からのクレームにより公園が閉鎖されるというニュースも話題になりました。近隣住民の方は18年もの間、子供の声や夜に花火をしたりサッカーの練習をする音に苦しんだそうです。
    このようなことを考えると、公園の隣も避けたいところです。
  • 大型道路の隣
    片側二車線の幹線道路や、片側一車線でも交通量の多い主要道路に隣接した物件です。幹線道路だと24時間自動車が通り続けますし、スピードが出ると音は大きく、トラックが通ると振動が発生します。また渋滞が発生すればベランダから洗濯物を干すところをじろじろ見られてしまったり、交通量が多ければ排気ガスで洗濯物にススが付いて汚れたりします。
    センターラインの無い小さな道路でも、抜け道となっていると意外に多くの車が通ったりするので要注意です。
  • 線路、踏切近く
    線路の近くは電車が一日中通過するので、騒音も振動も大きいです。踏切はカンカンカンという警報音が電車が通る前後から鳴りますので、電車の通過時間よりさらに長い時間音がすることになります。
  • 救急病院、消防署近くの主要道路近く
    救急病院や消防署近くでは救急車が出動するたびにサイレンの音がします。急病人や負傷者の手当てのためなので、24時間いつでも来る可能性があるのは仕方がありません。道路交通法で「緊急車両はサイレンを鳴らす」と決められているので、音を鳴らさないで欲しいといった要望はできません。サイレン以外に「右(左)へ曲がります」といった自動音声が気になるという声もあるようです。

日当たり

日当たりは何物にも代えがたいです。朝から一日日が差せばとても気持ち良いですよね。全く日が入らない家では一日中電気をつけて暮らす生活になってしまいます。

日光を浴びると気分が向上したり、血圧が下がったりする効果があることが知られています。北欧など冬季の日照時間が極端に少ない高緯度地域では、冬季型うつ病を発症する方が多いことも有名です。

中古戸建であれば現在の日当たり状況を確認することと、南側に日差しを遮るような建物が将来立たないかを考える必要があります。南側に畑が隣接している場合は、今は日当たりも見晴らしもとても良いと思いますが、将来住宅が建つ可能性があります。南側が道路を挟んで畑だった場合は、住宅が建っても日当たりを遮ることは少ないと考えられます。

その住宅地域が市町村の都市計画で第1種・2種低層住宅専用地域なら高さ制限のため3階建てくらいまでしか建てられませんが、第1種・2種中高層住宅専用地域なら5階建てまでのマンションが立てられるので、南側に大きな畑や空き地があったりすると、将来的にマンションが建って日陰になるリスクが大きいと言えます。第1種・2種低層住宅専用地域でも高さ7m以下または二階建てなら日影規制を受けないため、戸建てが隣接して日当たりが悪くなってしまうことはよくあるので要注意です。

在来軸組工法

在来工法(在来軸組工法)とは、昔ながらの柱と梁で骨組みを作り、地震や強風に耐えられるための「耐力壁」は、筋交いという斜めに木材を設置して補強します。この工法はどの工務店でも取り扱う一般的なもので、比較的間取りを自由に設計できるので、中古住宅でリノベーションしたい場合には向いています。

在来工法以外にはツーバイフォーや軽量鉄骨、RCがあります。ツーバイフォー(2x4)は木造壁式工法と言われ、柱や梁ではなく床や壁、天井の面で建物を支える工法です。2インチx4インチの規格材で作られるため品質は安定し、室内はすっきりした空間とすることができますが、面で支えているという構造上、大きな窓を設置できなかったり、リノベーションで壁をなくしたり移動したりすることができません。

軽量鉄骨は在来工法の木材の部分を鉄骨にしたイメージです。木材に比べて材料の強度は高いので、新築で窓を大きく取りたいとか、柱のない大きな部屋を作りたいといった希望を実現しやすい工法です。しかし調湿・吸湿性能がないため外気温の影響を受けやすく断熱性が悪いため光熱費がかかったり、ツーバイフォーと同様に壁をなくしたりといったリノベーションに不向きといったデメリットがあります。

RCは頑丈で遮音性、耐震性も高く、寿命も長いなどメリットも多いです。しかしこちらも断熱性が悪かったり後からのリノベーションに不向きなことや、建物の解体費用が木造より大幅に高いことがデメリットです。

各工法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。私は建物が古くても自由にリノベーションしたり、もし将来建て替えや土地として売ることとなった時に簡単に解体できる家が良かったので、在来軸組工法を選びました。

事故物件

不動産用語で心理的瑕疵という言葉があります。買主が心理的な抵抗を与えるおそれのあるものを指し、自殺や殺人、自然死でも長期間発見されず特殊清掃が必要になったような物件、いわゆる事故物件は心理的瑕疵にあたり、売主は相手方へ告知する義務が宅建業法で規定されています。

告知義務があるため契約を進める中で知ることはできますが、先に知る方法として大島てるというサイトで検索する方法があります。

大島てるは事故物件の情報提供サイトで、地図上で事故物件に炎のマークがつけられており、そこをクリックすると「事故死」「自殺」などといった詳細情報まで書かれています。ただしこのサイトは誰でも自由に情報を書くことができるため、いたずらや嫌がらせの嘘情報も多いようなので参考程度にとらえるのが良さそうです。

事故物件は事故の内容によって2~5割引程取引価格が安くなるためお得だと感じる方もいるようですが、私は避けていました。

譲れない条件には妥協しない

私は実際に物件を探し始めてから購入まで二年以上かかりました。二年以上というのは長期戦です。住宅購入を検討するタイミングは人それぞれでしょうが、いざ購入しようとなったら早く手に入れたいものです。

私は社宅扱いのマンションに住んでいましたが、子供を育てるのに集合住宅は窮屈だということで中古戸建を探し始めました。まず住宅情報サイトに希望条件を入力して探し始めたのですが、上記最重要項目で選ぶと残った物件数が圧倒的に少ないです。長い間希望の物件が見つからないと、果たして今後自分の条件に合った物件に出会えるのか不安になります。

気持ちが焦ってくると条件を妥協したくなってきます。実際私も私道負担有りの物件を購入直前まで行きました。私道負担以外の条件がとても良かった上に一番手で内見することができたので、私道負担があっても良いと妥協しようとしたんですね。夫婦で一晩じっくり話してやはり私道負担のある物件は避けることにしたのですが、この物件を本当に見送ってよいのか、今後この物件よりも条件良いものが現れないんじゃないかとても不安でした。

私はその後半年で理想の物件に出会えたので、結果から言えば妥協しないで良かったことになります。この経験から言えることは、とにかく早めに探し始めて、気長に待つ余裕を持てるようにすることが大切です。そして後で大きな後悔をしないために、譲れない条件は堅持したいところです。

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