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ご近所トラブル

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穏やかな暮らしをしていくために避けたいのがご近所トラブルです。一度ご近所トラブルが起きると、トラブルとなった相手との関係修復は簡単ではないので、それ以降の生活がとても苦しくなります。

ご近所トラブルは生活音やたばこの煙といった直接的なものから、ゴミ出しの方法や自転車を敷地内に停めるといったルールに関するものなど様々なものがありますが、自分の心づもり次第で予防できるものも多くあります。

私自身がご近所トラブルを経験してつらい思いをしましたので、この記事で皆様の理解が深まり少しでもトラブルが減ってもらえたら嬉しいです。

ご近所トラブルが起こりやすい社会的背景

夫の言う日本人の特性として、他者に対して不寛容であることが挙げられます。規律を守るのが日本人の良さなのですが、一方でルールを逸脱することや人と違うことをすることを嫌い、そのような人間に対して厳しい目が向けられます。

そのギスギスした窮屈な社会を形容して”不寛容社会”と呼ばれます。

これは昔に比べ人間関係が希薄になったことが多分に影響していると考えられます。以前は子供世帯と親世帯など二、三世帯が同居する大家族が多かったのですが、夫婦のみ、夫婦と子供といった核家族や単身で暮らす世帯が都市部を中心に増えていきました。またマンションやアパートなどの集合住宅も増え、近隣との付き合いも減ってきています。

人付き合いがあれば日常会話の中で解決できたトラブルも、会話する機会すらないので不満となって溜まってしまい、トラブルの芽となるのです。

ご近所トラブルは一度も発生させない

ご近所トラブルの一番の問題は、一度トラブルが起きるとその相手との関係回復が難しいことです。クレームした側は一度気になったものは、それ以降ずっと気になってしまうものです。クレームを受けた側も次またいつクレームされるかと気を使いながら生活することになり、とても窮屈な暮らしになります。

問題がこじれて大きくなり、嫌がらせや脅迫を受けるなんてことも日常的に起きています。賃貸なら最悪引越すことも可能ですが、分譲マンションや戸建、社宅だった場合はそう簡単ではありません。そう考えると大切なのはご近所トラブルを”一度も起こさない"ことです。

ご近所トラブルは被害側となる場合もありコントロールしきれないこともありますが、少なくとも自分が原因で生じさせないように気を付けましょう。

どんなご近所トラブルがあるか

様々あるご近所トラブルの中から代表的なものを紹介します。

  • 生活音、騒音
    ご近所トラブルで特に多いのが音に関するものです。赤ちゃんの鳴き声、子供の足音、オーディオの音、ペットの鳴き声等々、様々なものがあります。これはやはり上下左右に人が住んでいる集合住宅で起きやすい問題です。この問題の難しいところは誰でも加害側にも被害側にもなる可能性があるところです。自分の家庭で気をつけていたとしても、上の階の音が気になるかもしれません。集合住宅では音のトラブルが起きやすいので、子育て家族だけでなく単身者でも住宅選びに注意が必要です。
  • 煙、臭い
    煙草や焼肉の煙、柔軟剤等の臭いの問題です。煙草については日本では年々喫煙者は減ってはいますが、吸わない人にとっては嫌なものです。昔は部屋で吸っている人も多かったのですが、壁紙が黄色くなる、子供に害があるということで、換気扇の下やベランダで吸うようになりました。すると今度は近隣の方から洗濯物に臭いが移るなどとクレームが入るようになり、完全に家からから離れて吸う方が多くなりました。
    焼肉はアウトドア感覚で庭で行う人や、部屋に匂いがつくのが嫌だからとベランダで行う人がいます。煙草と同じように煙で近隣の洗濯物などに臭いが移りクレームとなります。
    柔軟剤は近年増えているクレームです。欧米系の強い匂いの柔軟剤が増えたことにより、匂いに敏感な人は気分が悪くなってしまうことがあります。洗濯は毎日行いますし、日々強い匂いが漂ってきたら辛いものです。
  • ゴミ出し
    自治体毎に規定があるので、その規定に沿って分別し、指定日に出す必要があります。しかし正しく分別をしていない、指定日でない人に捨てるといった規定を守らないことはトラブルの元です。
    最近は戸別収集も増えましたが、集合住宅をはじめ集合収集のところも多いと思います。集合収集だとルールを守っていない人は目につくものです。朝ゴミ出しをするルールにも関わらず夜出してしまう人がいますが、特に夏の時期はゴキブリが出る原因になりますので、時間は守るようにしましょう。
  • 公道の占有
    自転車や自動車が敷地からはみ出しているといったものや、近年では子供が道路で遊んでいることにも厳しい目を向けらることがあります。
    自転車は少しくらい外に出ていてもいいと思いがちですが、周りの人からは気になるものです。家の前の公道に置くようなことは避けましょう。
    また子供が道路で遊ぶのは何も問題ないように見えますが、音が気になる、公道を占有しているのが気になるという人がいるのも実情です。「子供が遊んで何が悪い」「当然の権利だ」という考えでいるとクレームのもとになることもあるので、そのような考えもあることを理解して、公園で遊ばせるなどの配慮も必要です。

生活音、騒音の一番の対策は戸建

集合住宅では壁や床一枚を挟んで上下左右に人が住んでいるので、とにかく音の問題が起きやすいです。子供の足音や赤ちゃんの泣き声というのは本来健全な生活音ですが、集合住宅ではそれを気にした生活を送らなければなりません。

元気な子供に足音を出さない生活を強いたり、赤ちゃんの泣き声で神経をすり減らすのはとても不幸なことです。そこで特に子育て家庭においては、戸建てに住むことをおすすめします。戸建ての賃貸もあるので、集合住宅に比べ多少家賃は上がりますが、子育て家庭であれば選択肢に入れてよいと思います。夫の同僚でも子育てのため賃貸戸建てに住んでいる人は複数いるそうです。

戸建てでももちろん一定の配慮は必要ですが、集合住宅に比べると気の使い方が格段に違います。私が以前集合住宅に住んでいた頃に子供の足音について階下の人から強いクレームを受けてしまい、それ以降は防音マットなどの対策をしたものの、いつも音を気にした生活をしていました。

今は戸建てに住んでいますが、子供が家でダンスをしても、床でプラレールで遊んでも何も気にする必要はありません。子供がはしゃいでいるときに窓を閉めるといったくらいです。戸建に住んだことで健やかな暮らしをしています。

集合住宅に住む場合の騒音対策

とはいえ様々な事情で戸建てに住めない方も多いと思います。集合住宅に住むに当たって対策できることを紹介します。

  1. 鉄筋コンクリートのマンションに住む
    床から伝わる音は主に二種類あり、食器やおもちゃを落とした時のような軽く高音域の軽量衝撃音と、足音などの鈍い低音域の重量床衝撃音に分かれます。軽量衝撃音はカーペットやジョイントマットを敷けば軽減されますが、重量床衝撃音はそれらで防ぐことは難しく、住宅の構造に左右される部分が大きいです。
    重量床衝撃音を防ぐには重量のある材料で隔離することが重要なため、床や壁にコンクリートを充填した鉄筋コンクリート造のマンションが比較的防音性に優れています。木造アパートや軽量鉄骨アパートはそれら重量物での隔離がないため、とにかく音が響くし遮音性は全くないと考えてください。私も子供が生まれる前に木造アパートに住んでいましたが、下の階の子供が歩く音や、隣家の話す声が聞こえるほどでした。
  2. 一階に住む
    足音の対策として一階に住むことも有効です。木造だと一階の足音でも上階まで響いてしまいますが、鉄筋コンクリート造なら足音が上階まで響くことは少ないので、集合住宅でも比較的足音の心配が軽減されます。
    上階に住むのは気持ち良いものですが、子供がいる家庭なら避けた方が無難です。逆に子供がいない、またはある程度大きい場合は最上階に住めば上からの音を心配する必要がなくなります。また角部屋(一番端の部屋)を選ぶと隣との音の心配を減らすのに有効です。
  3. 階下が店舗やオフィス、大家の部屋に住む
    一階がコンビニなどの店舗やオフィスで、その真上にある部屋は音のクレームを受けにくいので有効です。おすすめはオフィス、次にコンビニ、避けたいのはレストランです。コンビニの場合は音楽も流れており音は全く気にされません。いつでも食材が変えて便利でもあるのですが、24時間人の出入りがあったり、夜中でも明るかったりというデメリットがあります。その点オフィスは夜は静かです。
    飲食店は特に中華料理店や焼肉店だと油っぽい煙が上がってきたり、衛生状態によってはゴキブリやネズミが出てしまう可能性があるので避けたいところです。
    また階下が大家さんだった場合、住人は自分の収入を支えてくれる大切な客であり、クレームして出て行ってしまったら自分の収入減なので、多少のことは許容してくれます。
  4. 防音マットを設置する
    重量床衝撃音は建物の構造によるところが大きいことと、ジョイントマットは軽量衝撃音にしか効かないことを書きましたが、防音専門メーカーの防音マットを設置することも有効です。価格はジョイントマットよりも高いですが、その分効果も高いです。
  5. 物件内見時に防音性能を確認する
    集合住宅の物件を内見に行く際は、歩いた時の床の音の響き具合や、壁を叩いて防音性を確認しましょう。同じ鉄筋コンクリート造だったとしても物件によって全然防音性が異なります。私も以前賃貸マンションに引っ越した際は、内見で複数の物件を見に行き防音性が低い物件は候補から除外しました。

防音専門メーカーのマットで足音対策

私は以前住んでいた鉄筋コンクリート造の賃貸マンションでは最初はジョイントマットしか引いていませんでしたが、階下から足音のクレームを受けた後は、ピアリビングの「静床ライト」と「足音マット」をリビング全面とキッチンに敷きました。ピアリビングは床マットの他、防音カーテンや窓用防音パネル、楽器が使用できる防音室なども販売している防音専門メーカーです。

静床ライトは一枚約1.5kgもあり重厚で、そこに足音マットを組み合わせると遮音性能が一番高くなります。

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静床ライト+足音マットを全面に敷いています。

これによりだいぶ足音の重量床衝撃音は軽減されましたが、それでも音はしますので生活は気を付けていました。

静床ライトと足音マットと合わせて総額10万円以上費やしましたが、社宅で引越すこともできない状況の中でできる最大限の対応でした。

静床ライト+足音マット

静床ライト

ピアリビングの静床ライトはメーカー資料によると防音等級が特級だそうです。確かに一枚一枚がとても重厚で重く、一般のジョイントマットとは全然違う感じはあります。ピアリビングのHPによると、JIS(日本工業規格)の遮音等級”特級 LL-40相当”とのことです。私の感覚ではスプーンを落としたりする落下音はほぼ無くなりましたが、足音についてはそれほど効果がある感じはしませんでした。ちなみに静床ライトは以前のマンションで8畳のリビング+キッチン用に50枚購入しました。

適用等級なし3級2級1級特級
椅子の移動
落下音など
うるさいよく聞こえる聞こえる少し聞こえるほとんど
聞こえない
通常ではまず聞こえない
下階からの
聞こえ方
上階の様子がよくわかる上階の生活行為がわかる上階の生活が意識される上階の生活が多少意識される上階の気配を感じる上階の気配はまず感じにくい
軽量床衝撃音遮断性能(LL)
(JIS A1419)
LL-65LL-60LL-55/50LL-45LL-40(静床ライト)LL-35(静床ライト
+足音マット)
静床ライトの遮音等級(ピアリビングHPより)

足音マット追加

ピアリビングによると静床ライトに足音マットを組み合わせると遮音等級”特級 LL-35相当”で更なる遮音性能となるそうです。足音マットを使ってみた感想としては、静床ライトに比べて重量も軽くペラペラなのですが、足音に対しては静床ライトより効果がありました。

我が家は静床ライト+足音マットで全面設置しましたが、足音マットだけでも防音効果は高いので普通のカーペット+足音マットでも良かったかもしれません。また静床ライトの素材にはガラス繊維補強PVCが含まれているため、処分する時に市の粗大ゴミで回収してもらえませんでした。産廃ゴミとして50枚で一万円強かかったことを付け加えておきます。

トラブルになった時は

集合住宅の場合は管理会社がいるため、トラブルになった時は直接相手と接触せず、管理会社を通して相手と話すことが基本です。直接話をすると感情的になり良い結果にならないことが多いです。例え相手から直接訪問があってクレームを受けたとしても、「管理会社を通してください」と毅然とした態度で言って構いません。

普通なら相手方も管理会社経由でクレームしてくると思いますが、こちらの主張も管理会社経由で伝えれば良いのです。例えば子供の足音がうるさいと言われたら、「何時までなら許容できるのか」といった妥協点を探ってもらったり、張り紙等陰湿な嫌がらせを受けたなら管理会社から指導してもらうこともできます。

私がクレームを受けた時も管理会社に相談したのですが、管理会社の方からこんな話を聞きました。ある部屋が子連れの家庭だったのですが、階下の人が子供の足音がうるさいと管理会社にクレームしたそうです。その後もことある事に生活音のクレームを管理会社にしてきたそうですが、管理会社の方は「ここはファミリータイプのマンションです。上の家族にも生活があり、そんな厳しい要求では生活ができない。そんなに不満なら出て行ってもらっていいですよ」と毅然と伝えたところ、その後はクレームは無くなったそうです。

そしてこの管理会社の方は「強いクレームを受けても気にする必要はない。私が相手方と調整する」と言ってくれて心強かったです。クレームを受けて萎縮してしまう人も多いでしょうが、管理会社に間に入ってもらい、生活を守るために必要なことは主張して良いのです。ただし自分が改めるべきところは改めましょう。

もし家族が脅迫を受けたり車を傷つけられたりという被害を受けた場合は、警察へ行きましょう。このようなタイプは相手が何もしないと思うとエスカレートしていきます。被害を受けたら遠慮なく警察に動いてもらえば良いのです。

良い管理会社の見分け方

集合住宅のご近所トラブルを解決するには、きちんと間に入って調整してくれる管理会社がいる物件である必要があります。管理会社に業務委託するには委託費が必要なため、アパートなどの小規模集合住宅では管理会社に委託せず大家が管理しているというところも少なくありません。そのような物件でトラブルが起きた場合は大家に相談するか自己解決するしかなくなってしまうので避けたいところです。

トラブルが生じたときに管理会社がどこまで対応してくれるかは、実際起きてみないとわかりません。ただ入居前に管理状況の良し悪しを判断する一つの視点として、ゴミ集積所の清掃がきちんとされているか、エントランスや廊下等の共用部の電灯が切れたまま放置されていないかといった点を内見時にチェックする方法があります。清掃がされていなかったり、メンテナンスがされていないような物件はきちんと管理されていないことを表していますし、ゴミが放置されているようであれば、住人のマナーが悪いことも考えられます。

戸建の場合はどうする

マンションなどの中規模以上の集合住宅では管理会社がいることが多いですが、戸建ての場合は管理会社はいないので、全て自分で管理する必要があります。ではご近所トラブルにどう向き合えば良いでしょうか。

戸建ての場合は一般的に町内会という地域住民で運営する自治会があります。住民の交流を目的として地域家族合同で清掃を行なったり、道路の改修を役所に提言したりします。運営、管理は地域住民で行うので、会長や役員は毎年持ち回りで行うことが多いです。

前述のように人付き合いの中で解決できる問題も多くありますので、まずはこのような集まりに積極的に参加し、近所の方と顔を合わせる機会を増やしましょう。知らない子供の声が気になっても、知り合いの子供のものなら気にならないものです。

それでももしトラブルがこじれて当事者同士での解決が難しい場合は、町内会長に相談しましょう。ただし町内会長は近所の方が持ち回りで担っているだけですので、管理会社のような役割は期待できません。どうしても解決できない問題があるのも実情です。

あとがき

今回ご近所トラブルについて紹介しました。私自身が集合住宅での騒音クレームで非常に苦しい思いをしましたし、友人はもっと酷いクレームや嫌がらせを受けていました。以前役所に相談に行ったこともあるのですが、騒音トラブルは毎日のように相談があるとのことでした。それくらい身近で日常的に起きているのです。

特に子供がいるご家庭には辛い思いをして欲しくないので、今回の記事がお役に立てれば嬉しいです。

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