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今やスマートフォンなしでは生活できないので、通信環境はとても大切です。いつも使うものなので速くて安い回線を使いたいものです。一般的に個人で契約する回線は自宅のネット回線とモバイル通信回線とありますが、今回はモバイル通信回線について解説したいと思います。

世間の契約状況

MM総研が2023年7月に調査したデータによると、スマートフォン利用者の月額通信料金(端末代金を除く)は4,317円だそうです。

通信回線の種類別では①キャリア+キャリア(オンライン専用)利用者は5,047円、②サブブランド利用者は3,033円、③MVNO利用者は1,909円なので、全体平均で4,317円ということは料金の高い①キャリア+キャリア(オンライン専用)利用者が多いということです。

下のグラフは総務省の2022年度の市場調査で、6,000名のアンケート結果です。確かにキャリア+キャリア(オンライン専用)で65%、キャリアだけで56%を占めています。

・キャリア          docomo、au、Softbank、楽天モバイル
・キャリア(オンライン専用) ahamo、povo、LINEMO
・サブブランド        UQ mobile、Y!mobile
・MVNO           mineo、IIJmio、OCNモバイルONE、イオンモバイル etc.

料金が安い回線があるにもかかわらず、なぜ多くの人が高いキャリアを使っているのでしょうか?

通信回線市場は長らくキャリア三社(docomo、au、Softbank)の寡占状態で、通信料金は横並び&高止まりしていました。政府が競争を促すため2019年に法改正した結果、様々な安い料金プランが登場しました。

多くの人が安い料金プランへ移行し恩恵を受けた一方で、総務省のアンケートでは「手続きが面倒だから」「特に理由はない」「興味がない」という非積極的な理由で従来の契約を継続している人も多いそうです。

せっかく多くの選択肢が選べる環境になったので、取り残されずに賢く活用したいところです。

キャリア、キャリア(オンライン専用)、サブブランド、MVNOとは

キャリアやサブブランド、MVNOといった単語が出てきましたが、これらは通信事業者の事業形態による呼び方です。それぞれ解説します。

キャリア(MNO)

キャリアとは「携帯電話の通信設備を自社で持っている通信事業者」のことです。Mobile Network Operatorの略でMNO(携帯電話事業者)という呼び方もあります。

docomo、au、Softbank、楽天モバイルの四社が該当します。

もともとはdocomo、au、Softbankを指して3大キャリアと呼んでいましたが、2020年に楽天モバイルが参入し四社となりました。市場は3大キャリアの寡占状態で料金が高止まりしていましたが、楽天モバイルが3大キャリアの半額程度の料金で参入し風穴を開けました。

キャリア(オンライン専用)

キャリア(オンライン専用)とはキャリアが提供するオンライン専用の格安プランです。主に20代を中心としたネットリテラシーの高い世代に向けて、申し込みから契約後のサポートまでオンラインで行い、店頭での手続きを削減することで料金を下げています。

2019年時の総務省の調査では、20GBの大容量プランではニューヨーク、ロンドン、ソウル等主要6都市の中で東京が最も高かったことから、菅政権が携帯電話料金引き下げ政策を掲げ、それに応える形で2021年3月からdocomoがahamo(20GB、2,980円税抜き)を提供したことが始まりです。それに対抗する形でKDDIからpovo、SoftbankからLINEMOが提供されました。

2019年の法改正以降も三大キャリアの料金は横並びで下がらずだったので、ahamoの発表は衝撃だったことを覚えています。

サブブランド

サブブランドとはキャリアのグループ会社が運営する低価格帯のブランドのことです。

au系列のUQ mobile(ユーキューモバイル)、Softbank系列のY!mobile(ワイモバイル)が該当します。

キャリアの自社回線を使うのでMVNOと比べて通信速度が速いことと、キャリアの主力プランに比べて低価格(主に2,000~3,000円台半ば/月)という特徴があります。

MVNO(格安SIM)

MVNOはMobile Visual Network Operator(仮想移動体通信事業者)の略で、docomoやauなどの大手キャリアから回線を借りて格安SIMを提供している事業者のことです。自社回線を持たないため設備投資費をを抑えることができ、またMVNOはほとんどが実店舗を持っておらず店舗運営費を抑えることで、安くサービスを提供しています。

MVNOは大手キャリアから借りた回線帯域をユーザーで共有するため、利用が多くなる朝夕の通勤通学の時間帯や昼休み、週末の夜等は速度が遅くなったり、キャリアの年齢認証が必要なLINEのID検索が使えないというデメリットもあります。

mino、IIJmio、OCNモバイルONEなど、総務省によるとMVNO事業者は数は2022年12月末で1,732社もあるそうです。

なおMVNOは格安SIMとも呼ばれますが、SIMとはSIMカードのことで、スマートフォンやタブレットに入っている加入者識別IDが記録された小さいICカードのことです。

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SIMカード

通信事業者・プランの選び方

近年通信事業者やプランの選択肢は増えましたが、選択肢が多いゆえに比較するのが面倒になってしまっている方も多いのではないでしょうか。ここではいくつかのポイントに絞った選び方を紹介します。

通信事業者の選び方

通信事業者とプランを合わせると選択肢が膨大になるので、まずは自分の志向と合う事業形態を選ぶことから始めましょう。

キャリアキャリア
(オンライン専用)
サブブランドMVNO
店舗の手厚いサポートを受けたい×
通信速度重視
価格重視×

・店舗の手厚いサポートを受けたい
 キャリアは多くの店舗を抱えており手厚いサポートが受けられますが、混んでいるため長い時間待たされることもあります。キャリア(オンライン専用)はオンライン専用としていながら、有料で店舗でのサポートを受けることが可能です。サブブランドは店舗がありますが店舗数が非常に少ないです。MVNOは実店舗がありません。

・通信速度重視
 何といっても通信速度が速いのはキャリアです(楽天を除く)。サブブランドもキャリアのグループ会社のサービスなのでキャリア同等の通信速度です。MVNOはキャリアの回線を借りていますが、帯域を制限されているためユーザーの使用量が多い昼休みや夜間の速度が遅くなります。

・価格重視
 多少の速度の犠牲があっても安さ重視ならMVNOです。キャリア(オンライン)とサブブランドは同等の価格ですが、サブブランドは基本データ容量を小さくすれば更に安いプランもあります。しかし月の基本データ容量を超えてしまってオプションで追加すると一気に高くなってしまうので要注意。キャリアはとにかく高いです(楽天を除く)。

プランの選び方

自分に合った事業形態が決まれば次はプラン選びです。必要な容量と価格のバランスで決めましょう。

自宅に固定回線があるかどうか、外での動画・ゲームの通信が多いかによるおおよその通信量は次の通りです。

外での動画・ゲーム通信多い外での動画・ゲーム通信少ない
自宅に固定回線有り~20GB~3GB
自宅に固定回線無し50GB~無制限~10GB

一番確実なのは自分の毎月の通信量を確認することです。自分の契約している通信事業者のHPやアプリから直近数か月の通信量履歴を見ることができます。

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ahamoのAppの履歴画面。基本データ容量は10GBあれば足りそうです。

また用途による通信量の目安は次の通りです。

用途通信量の目安
Webページ30MB/100頁
インターネット電話
WeChat、LINE等
音声通話:4MB/10分
ビデオ通話:50MB/10分
Zoon Web会議360MB/1時間
Microsoft Teams TV会議500~800MB/1時間
YouTube視聴 240P(低画質)20~30MB/10分
YouTube視聴 720P(HD高画質)120~150MB/10分
通信用途と通信量の目安

なおMMD研究所が2023年1月に調査したスマートフォンの月平均モバイル通信量は10.09GBだそうです。

各通信事業者の特徴

ここでは代表的な通信事業者の特徴・概要を整理しますので、自分に合った事業者を見つけてみてください。(キャリアは価格の安い楽天モバイルを除いて省略)

会社名特徴利用回線月額通話料金通信速度リンク
ahamo5分以内の通話が使い放題
海外ローミング手数料不要
docomo20GB:2,970円22円/30秒速い

公式

Povo安い&通信速度安定で使いやすいau3GB:990円
20GB:2,700円
22円/30秒速い

公式

LINEMOLINEでの通話、トークが使い放題Softbank3GB:990円
20GB:2,728円
22円/30秒速い

公式

UQ mobile10分以内の通話が使い放題
~15GBはセット割で安い
au15GB:2,178円(セット割後)
20GB:3,278円
22円/30秒速い

公式

Y! mobile全国の店舗有りSoftbank3GB:2,178円
15GB:3,278円
25GB:4,158円
22円/30秒速い

公式

IIJmio幅広く料金設定有り
どのデータ容量でも安い
docomo
au
2GB:850円
5GB:990円
15GB:1,800円
20GB:2,000円
30GB:2,700円
50GB:3,900円
11円/30秒docomo:速い
au:普通

公式

OCN MOBILE ONE特定の人との通話が多い人におすすめdocomo500MB:550円
1GB:770円
3GB:990円
6GB:1,320円
10GB:1,760円
11円/30秒新プラン:速い
旧プラン:遅い

公式

mineoどのキャリアもSIMロック解除なしで乗り換え可docomo
au
Softbank
1GB:1,298円
5GB:1,518円
10GB:1,958円
20GB:2,178円
22円/30秒遅い

公式

Rakuten Mobileデータ量無制限プランあり
(楽天回線のみ。au回線では上限5GB。)
楽天(au)1GB〜3GB:1,078円
3GB〜20GB:2,178円
20GB〜無制限:3,278円
22円/30秒遅い

公式

各通信事業者の比較

我が家の契約状況

参考に我が家の契約状況を紹介します。

契約回線

  • モバイル通信回線(夫) ahamo 20GB 2,970円/月 →今後UQ mobileへ変更するか悩み中。
  • モバイル通信回線(私) IIJmio ギガプラン15GB 1,800円/月

夫は携帯電話が普及した2000年頃から15年以上docomoを使っていました。昔はdocomoの他にJ-phone(後にVodaphone→Sofbank)やTu-Ka(後にau)などがありましたが、当時はブランドイメージの高いdocomoを使用していたそうです。

その後2018年にUQ mobileへ、2023年にdocomo系のahamoへ変更するという変遷を辿っています。

私のIIJmioはもともとは夫が独身の頃にサブ回線としてデータ通信専用SIMとして契約していたものでした。来日当初は電話をかけることもなかったのでそのまま使っていましたが、生活していくうちに色々な手続きで自分の電話番号の記載が必要な場面が出てきたので、音声SIMに変更して使っています。

docomo → UQ mobile乗り換え理由

夫はもともとdocomoで毎月7千円程支払っていましたが、2018年にUQ mobileに変更することで3GB 1,628円+通話パック550円=2,178円/月となり、年5万円以上節約になったと喜んでいました。結婚を機に家計を見直し始めた際に毎月7千円の支払い高いと思ったことと、ある時ドコモショップを訪れた時のスタッフの応対がひどかったことから、15年も使用したdocomoを離れる決心をしたそうです。

UQ mobile → ahamo乗り換え理由

UQ mobileの通信速度には満足していて、2021年にahamoが20GB 2,970円で登場しても安いUQ mobileを使い続けていたのですが、最後の方は3GBでは不足しがちでデータチャージしていました。データチャージは500MBで550円もするので、毎月終わってみると4,000円近くなっていることも多かったことから、20GBで2,970円のahamoに変更しました。

ahamoは20GBを使い切ることもなく、通話も1回5分まで無料なので、ほとんど2,970円を超えることがなく満足しています。しかし気になるのは人が多い混雑している場所で繋がらないことです。花火大会やディズニーランドでは全然繋がりませんでした。

UQ mobileに2023年に20GBで3,278円というプランが出たので、ahamoで一年程経過したら乗り換えようかと考えています。

しかし2024年春に中国を訪問してわかったのですが、ahamoは海外ローミングに特別な手続きや費用が不要な上、ファイヤーウォールに影響されずにYouTubeやGoogleにアクセスすることができました。15日間限定でローミングできるのですが、1~2週間の短期滞在をする人にとってはとても魅力的です。ただし15日を超えると速度制限がかかり、一度帰国するまで解除されません。追加費用を払って解除するということもできないので、長期滞在する人には使えない機能です。

筆者おすすめは?

これらの状況を考えると、メイン回線としては日本国内で生活するならUQ mobileがおすすめです。サブ回線ならIIJmio。中国へ短期滞在する人はahamoなら不自由しません。

自宅に固定回線があって、私のようにゲームはせず外でたまにYouTubeを見るくらいの人ならば10~15GBあれば十分です。

キャンペーン狙いで乗り換えもありだが、ブラックリストに注意

昔はモバイル通信回線の契約には「2年縛り」と呼ばれる悪習慣があり、2年の定期契約を結ぶと一定の割引を受けられるが、2年以内に解約すると一万円近い違約金が発生するというものでした。無料で解約ができるのは契約更新月と呼ばれる2か月程度のみで、そこで解約しないと自動で2年契約が延長されてしまうという、顧客を解約させにくくする手法が取られていました。

しかし2019年の法改正により2年縛りの違約金を1,000円に規制された後、大手キャリア三社は違約金自体を撤廃しました。

そのおかげで今は簡単に通信事業者を乗り換えることができます。

各通信事業者は囲い込みのために乗り換えキャンペーンとして「○○か月割引」とか「スマホの値引き」、「ポイント付与」等を行っているところが多いので、乗り換えるほどお得になります。

しかし短期間で乗り換えているとブラックリストに乗ってしまい、新規契約を断られることがあるそうなので要注意です。短期解約とは一般的に180日以内の解約と言われていますが、実際にはショップ店員にも知らされておらず、会社ごとで異なるようので、実際のところはわかりません。X(Twitter)でも断られたという書き込みを見ましたが、ショップ店員も詳細は知らないので「審査が通らなかった」としか回答されないそうです。

おわりに

今回の記事ではモバイル通信回線について解説しました。

特に今三大キャリア(docomo、au、Softbank)を使っている方は、契約見直しにより大幅に費用削減できるのでおすすめです。

家計見直しにおける固定費削減として、簡単で効果が大きい項目です。ぜひ自分にあった通信事業者・プランを見つけてください。

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